
新規の中2・中3の保護者の方からいただくご相談のひとつに、
「うちの子、英語が何にもわかっていないみたいで、中1の英語からやり直してください」
というものがあります。
お子さんの状況を心配なさってのことでしょう。
お気持ちは非常によくわかります。
実際、英語が苦手になってしまった生徒の場合、中1の内容まで戻って復習する必要があることも多いです。
ただ、塾の立場から正直に申し上げると、「中1から全部やり直す」という方法が、いつでも一番いいとは限りません。
中1からのやり直しはできる。でも……
本人も、
「英語を頑張りたい!」
という気持ちになっていて、毎日英語の勉強をする。
塾の授業も週2回とも英語にする。
このくらいの覚悟と時間があれば、中1から英語をやり直していくことは十分可能です。
着実に英語力が積み重なっていくと期待できます。
ところが、実際に多いのは、
「英語は苦手だけど、まだ本人のモチベーションはそこまで高くない」
「塾では他の教科も勉強する必要があるので、英語にかけられるのは週1回程度」
というケースです。
もちろん、この場合でも中1の内容を復習することはできます。
ただし、「できる」というのは、あくまで取り組むことができるという意味です。
中1からの英語を少しずつ立て直しながら、現在学校で習っている単元にも追いついて、さらに次の定期テストの点数にもつなげる。
これは、なかなか簡単なことではありません。
なぜなら、中学生には毎月のようにテストがあるからです。
中1の内容を復習している間にも、学校の授業はどんどん先へ進んでいきます。
そして、ここが一番大きな問題なのですが、このやり方は長続きしないことも多いのです。
「英語ができないから、最初からやり直そう」
と始めたものの、今学校で習っていることは分からないまま。周りの友達と勉強している内容も違う…。
次のテストでも点数が上がらない。
すると、
「やっぱり英語は苦手だ」
となってしまう。
これでは、モチベーションが下がり、せっかく始めた復習も続きません。
では、どうするのか?
英語が苦手と感じる中学生に、私がおすすめしたいのは、
まずは「今、学校でやっている単元」を全力で頑張ることです。
「中1の内容ができていないのに、今の単元なんて無理なのでは?」
と思うかもしれません。
では、なぜ「今、学校でやっている単元」をまず頑張るのでしょうか。
英語は、今やっている単元の勉強が、これまで習った内容の復習になっていることが多いからです。
例えば、受動態を勉強するとします。
受動態では「be動詞+過去分詞」という形を使います。
ここでbe動詞の使い方をしっかり理解できれば、現在進行形など、ほかの「be動詞を使う文」を理解するときの土台にもなります。
現在完了を勉強するときも同じです。
現在完了そのものを覚えるだけではなく、助動詞を使った文の作り方など、これまでに習った英文の基本的な仕組みを確認する機会にもなります。
つまり、英語の勉強は「今の単元」と「過去の単元」が完全に別々になっているわけではありません。
今の単元を勉強していると、以前習ったことも何度も登場します。
その中で、
「ここ、よく分かっていなかったな」
という部分が見つかったら、そこを少し戻って確認すればいい。
中1の最初から全部やり直さなくても、今の勉強を進めながら、必要なところを復習することができます。
今やっている単元を頑張ること自体が、過去の復習にもなっている。
何よりこの方法の良いところは、次の定期テストの点数につながりやすいところです。
厳しい目で見られれば、「目先の点数を優先した」と思われるかもしれない。
ただ、ゆくゆく大事なのは本人が英語を続けたい、自分からがんばりたいと感じること。
点数が上がるという経験は、何よりも本人のモチベーションになるのではないでしょうか。
小さな成功体験が、長い目で見た英語学習につながると思っています。
「今」を捨てない
英語が苦手な生徒にとって、中1からの復習はもちろん大切です。
ただ、それは「中1の英語を全部完璧にしてから、今の勉強を始める」という意味ではありません。
今の単元を勉強する。同時にこれまでの復習にもつながる。
↓
分からないところが出てくる。
↓
そこに必要な過去の内容を復習する。
↓
もう一度、今の単元に戻る。
この繰り返しです。
遠回りに見えるかもしれませんが、私はこの方が現実的だと考えています。
中学生には、次の定期テストがあります。
その次の定期テストもあります。
受験生なら、入試も近づいてきます。
だからこそ、過去の穴を埋めることだけに集中するのではなく、「今」を大切にする。
英語が苦手だからこそ、まずは今学校でやっている英語を頑張る。
その中で見つかった「分からない」を、一つずつ過去に戻って埋めていく。
これが、英語を立て直していくための一つの方法だと思っています。
〖投稿者〗桂カレッジ 志水
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